2008年の新しいステージへ 団結と反撃を!
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武 建一
全日本建設運輸連帯労働組合
関西地区生コン支部執行委員長 |
新年明けましておめでとうございます。
協同・未来の皆様には常日頃大変御世話になっておりますこと、紙面をお借りして心より御礼申しあげます。本年も激動する内外情勢にあって、協同・未来が益々御発展されますことを心より期待致します。
権力弾圧のなかで
運動は前進
昨年、我が関生支部は、皆様の御支援・御協力のもと、権力弾圧が襲いかかる中においても大きく運動が前進した年でした。
07年春闘は、一律6500円の賃上げを獲得しましたが、これは満足できる結果ではありません。しかし、生コン産業、協同組合は労働組合の主張を認め、ゼネコン(大手建設会社)とセメントメーカー、大手商社への過剰サービスを排除する。その対応として土曜稼働をしない。生コンクリート打設終了後の洗浄は、工事現場の責任で処理することの約束が行われ、協同組合として大企業との対等取引のため大企業の横暴と闘う方向が確認できたことが、重要な成果と言えます。
協同組合と名の付く組織が全国で約5万、大阪府下だけでも2900あると言われていますが、その殆どの協同組合は荷主、大手各社の販売手段として利用され、本来の中小企業の利益は守られていません。中小企業の利益のためには、労働組合と協調・協力して闘うことが、自らの経済的・社会的地位向上になることを、関西の具体的実例が示しているのではないかと思います。
新年も昨年に引き続き中小企業の経済的・社会的地位向上のためには、「自立・自尊」の立場で大企業との取引関係を改善するために中小企業同士が競争をしない仕組みとして、共同受注、共同販売、共同集金システムを多くの協同組合に広めていくことが産業の民主化、経済の民主化にとって重要な闘いと思っています。
今一つは、中小企業経営者と労働組合、共同事業による「有限責任中間法人・中小企業組合総合研究所」の活動が大きく発展しました。ドイツプロ職人の輩出を生コン産業流に生かすべく、マイスター塾を発足させ3期卒業生を輩出したこと。歴史教養ツアーを2回組織し延べ100人余りの参加を得て「過去・現在・未来を語る」想像力を身につけたこと。シンポジウム、セミナー等1000人を超える参加者を獲得してその存在感を高めたこと。異業種交流会が本格的に発展し、「想像力・創生力」を発展させる機会が拡大したこと。機関紙・提言は、2ヶ月に1回の割合で発行し、約6000部が全国の中小企業者に発信されたこと。イギリスタクシーに学び、資格制度の研究に着手したことなど大きな成果を得ています。
反弾圧の運動については、関西での数々の大衆行動の成功、東京、静岡、岡山など各地への運動の広がり、良心的な学者、ジャーナリストの支援・協力の輪が大きく広がったこと。本を出版して1万部売れ、『月刊世界』(08年1月号)へのインタビュー記事掲載などを通じ、全国的に関生型運動が大きく広まっています。
こうした運動の高まりの中で、昨年10月31日大阪高等裁判所では、2件のでっちあげ事件について、不当判決ではありますが執行猶予5年と権力と大手が期待していた実刑は避けられたことです。この判決以降、権力と大手が求める協同組合を大手資本の道具にしようとする動きにブレーキが掛かり、中小企業と労働者にとって大変有利な情勢が生まれています。これからも油断することなく大企業の中小企業収奪政策、とりわけグローバリズム、市場原理主義と真っ向から対決し、国民の暮らしに役立つ公平・公正・平等を原則にした経済の民主化、産業の民主化に向け全力を尽くす所存です。
08年への闘う決意
08年は、昨年に引き続き激動変化の年になるものと思います。サブプライムローンは世界経済が博打経済で成り立っていること、金持ちは金儲けのためなら市場や国民の生活など全く省みることなどないことが、明白になりました。
株式市場・原油高はバブルであり、これがいつ破裂してもおかしくない状況下と思います。アメリカ帝国主義は、貿易・財政赤字で今日1600兆以上も借金があり、今日でも1日20億ドル以上の借金を抱えていると言われ破産状態です。今日までドルを際限なく市場にばらまきドルの価値が低下している、と同時にアフガニスタン、イラクへの先制攻撃は成功したかのように見えましたが、今日抜き差しならない泥沼に入っています。核・環境問題に対する二重基準は、国際的に孤立状態の象徴です。アメリカ帝国主義の力関係の低下は、目に見えてきております。日本の支配層は、この衰退するアメリカ帝国主義のしり馬に乗り、構造改革、規制緩和路線、消費税大幅アップと軍事大国化路線に突き進んでいます。その結果は、農民、商工業者、中小企業の経済破壊であり、労働者への雇用破壊、賃金破壊となって現れ、非正規労働者1600万人以上、年収200万円以下の労働者1000万人と、完全に「持っている者と持たざる者」の二極構造となって現れています。
昨年の参議院選挙の結果は、国民の怒りの現れであります。がしかし、アメリカと財界が求めているのは大連立か2大政党制です。この路線は国民を犠牲にする路線であり、これと対決して闘うのも、今年の重要な闘争課題です。
沖縄戦における日本軍関与による民衆の集団自決について歴史教科書での否認は、我が国の戦前の侵略戦争を美化し、再び軍事大国化を正当化するものであり、戦争を許さない闘いです。沖縄、岩国での反基地闘争と連動して、全国的運動を展開する先頭に立って闘わなければならないと決意しています。
ワーキングプア、貧困層の拡大は、社会共同体を破壊しています。銃の乱射、集団自殺、家庭内崩壊など各種事件、各食品偽装・隠蔽、年金不正、防衛省疑獄事件は、総理大臣をはじめ「頭が腐っている」から生まれている事象であります。
今や資本主義システムそのものが、崩壊する前兆であると思います。労働組合が企業の枠を超えた産業政策、地域政策のもと団結し行動すること、企業別労働組合から産業別労働組合へと組織形態を発展させ、非正規労働者、国民から信頼に足りる社会存在感のある組織として成長することが求められています。
新年は、敵の攻撃が仲間の団結、闘いの条件を与えるものと情勢分析をすれば、勝利の法則を見いだすことが可能な年と考えています。
大いなる希望の年として共に闘うことを表明します。
(編集部注―タイトルと文中小見出しは、編集部の責任でつけています。なお文中の「本」とは武建一著『労働者の未来を語る』のことで、本紙12頁の書評欄に、脇田憲一さんの書評を載せています。)
ふりかえれば、憲法改悪のための国民投票、現職大臣の自殺、参議院選での自民党の歴史的大敗、突如の安倍首相の無責任辞職、「集団自決」をめぐる教科書検定とこれに抗議する沖縄の11万人集会、防衛省の底知れない賄賂事件、「大連立」をめざす福田・小沢密談とその直後の小沢民主党代表の辞意表明、そして翻意、新テロ特措法の国会上程など、何とも目まぐるしいこの一年だった。
個人的には、私が共同代表の「イラク派兵違憲訴訟・東京」の訴えの最高裁(最低裁!)での棄却、これに伴う同会の解散があった。だが、これまでのイラク戦争の経緯を見れば、私たちの闘いの正しさは一目瞭然である。米兵の死者はすでに四千人に迫っているが、開戦以来すでに太平洋戦争を上回る期間なのに、いつ果てるか知れない泥沼で、ブッシュ大統領の支持率は26%と最低に落ちた。
一方、私がかかわっている重慶大爆撃の被害者による訴訟は、1月に第2回、5月に第3回、9月に第4回、12月に第5回の口頭弁論があり、それぞれ原告と弁護士による意見陳述がなされ、これに備えての運営委員会が毎月あって、今年に持ちこされた。
昨年の10月、私は何と連続20年目、仙台の宮城学院女子大学の大学祭に呼ばれて、「尾形憲塾二十年をふりかえる―夜間中学から重慶大爆撃訴訟まで―」と題する講演を行った。夜間中学、障害者問題、ピースボート、テロ特措法とイラク派兵の訴訟、そして重慶訴訟と、広汎な問題を取り上げてきたが、そこに一貫するものは「平和」である。単に戦争がないというだけでなく、「さまざまな差別・抑圧、飢餓、貧困、環境破壊がないことも含めた、積極的平和」である。「私は84歳になる。だが、今後も学び続けていきたい。生きることは学ぶことであり、そこに成長がある」と話を結んだ。
そんなわけで、私が最近関心を持っているアメリカの裏庭の中南米の「左翼旋風」にふれて年頭の挨拶とさせて頂きたい。
とくに南米である。12ヵ国のうちベネズエラ、ガイアナ、ペルー、エクアドル、ボリビア、ブラジル、ウルグアイ、チリ、アルゼンチンと何と9ヵ国が左派や中道左派の政権となっており、パラグアイもそれに接近している。その先頭を切っているのが、まだ50歳にならないベネズエラのチャベス大統領である。彼ははっきり社会主義をめざすといい、協同組合型重視であり、最初の社会主義者はキリストだったという。カトリック教徒が圧倒的な南米で、支配的な「解放の神学」が背景にある。司教の一人は言う。「我々は、人間による同じ人間からのどんな搾取をも排除し、我々の時代傾向やわが国民固有の性格に合致する社会主義的な建設に向けて行動するよう導かれる」
学ぶということは何と楽しいことか。それも本など字面からのものだけではない。文字道りの現場での″学び″である。体も大分不自由の私にどれだけそうした学びができるか心もとないが、今年も学び続けたい、言い続けたい、行動し続けたい。
革命的理論なくして革命運動なし
変革主体の形成・構築に努力する |
サブプライム・ローン問題で世界が大きく揺れている。ドルを基軸にしたアメリカの世界体制が一つの危機に陥っている、ということである。世の中には、「さっさと労働者に権力をよこせ!」と叫ぶ人たちもいるが、そんなに簡単にことが運ぶとも思われない。
第一に、アメリカを頂点にした世界資本主義体制は、確かにサブプライム・ローン問題を契機にして動揺している。サブプライム・ローン問題が無政府的に拡大する資本蓄積運動の結果として生み出されたことを考えるなら、動揺の根は資本主義構造の根幹に迫るほどに深い。しかし、この問題が、かつてのように世界大恐慌に行き着くのか、未曾有の大混乱に陥るのかといえば、今の段階ではっきりと見通すことはできない。アメリカを頂点にした世界資本主義体制は終焉を迎えた、と捉えることは、主観的・抽象的な願望の域を出ていない、と思う。アメリカの位置が徐々に後退していることを否定する人はいないが、それがアメリカ体制の崩壊に行き着くと断定することはできまい。
第二は、これが根本的な問題であるが、資本主義を変革・止揚していく主体形成が、あまりにも未成熟だ、ということである。資本主義は自動的に崩壊することはしないから、それを変革・止揚する主体の存在が問われる。
資本主義構造を変革・止揚していくためには、階級闘争を発展させることが求められる。資本と労働者の階級闘争が資本変革・止揚のすべてではないが、とはいえ、その軸をなしている労働組合運動の実相はどうなのか。憲法で保障されている団結権の行使を行っている組合は、大海の一滴にも及ばない実体にあるのではあるまいか。かつて、日本労働運動の中核といわれた国鉄労働組合は、衰退・崩壊の瀬戸際に立たされている。日本労働運動総体は、資本・国家に統合され、階級闘争のエネルギーを圧殺されている。組織率も18パーセントを割り込み、大半の労働者は搾取・収奪強化、権利・生存権破壊の渦に巻き込まれている。
過渡期概念と
主体形成が必要
このような深刻な実相に規定されて、資本主義的生産様式を変革・止揚していく協同組合的な生産様式の形成は、ほとんど手付かずの状態にある。なぜ、ソ連をはじめとした現存する社会主義は民衆革命によって倒壊したのか、日本の労働組合運動は衰退軌道に落ち込んでいるのか、階級闘争の柱をなす反合理化闘争はどうして瓦解したのか、ということを総括すれば、一挙的な権力奪取・革命路線、それと連動した階級闘争路線の未熟さと誤りは、はっきりとしてくるはずだと思う。
資本廃絶=資本変革・止揚は、本質的な階級闘争を積み上げつつ、その難をくぐり、資本に変わる、それを超える変革主体を形成することなくして進展することはない。豊かな政治的な革命主体と協同組合(労働組合はその軸)運動の足元からの形成・発展こそが、求められている課題である。 (12月13日)
2007年問題と言われた年、昨年の日本社会全体は異常続きだった。
政治情勢は、安倍自公政権による国会での強行採決の連続、現職大臣の自殺(他殺)、年金問題ばかりがクローズアップされた参議院選挙での野党民主党の圧勝、憲政史上初のあってはならない所信表明直後の首相辞任、大連立工作と小沢党首の辞任声明、そして反テロ特措法の期限切れを巡っての防衛省汚職摘発など、どれ一つとっても起きてはならないことが相次いだ印象が強い。
また、偽装請負、日雇い派遣、ワーキングプア問題などが爆発したなかで、偽装正規雇用と言う逆説的な現実まで明らかになった。さらにその偽装問題は、食品、お土産、老舗の料亭にまで広がり、日本社会全体が崩壊過程にあった事実が暴露されてきた。そして、それらは大きな破綻に向かう入り口に過ぎず、2008年からより深刻な危機が待っているに違いない。だからこそ日米軍事再編と言う戦争へのロードマップの終着点が2014年になっているのではないか。そして、その日米軍事再編と日米軍事一体化だけは強引過ぎるほど進行していることだ。それは単に沖縄の現実だけでなく、PAC3の首都圏配備強行や全国自衛隊基地へのF15訓練飛行強行、キャンプ座間への第一軍団司令部配備強行など日本全国が米軍と自衛隊の一体的強化となって現れている。まさにシビリアンコントロールは何処にも働いていないように軍事が独走している。その軍事強化のためにこそ守屋・山田洋行が大きく継続的に報道され、事件化されたのではと思いたくなるほど、政治と軍事のアンバランスが崩れている。
沖縄戦における日本軍の命令、強制、関与を文科省が否定し、検定撤回を頑なに拒否し続けているのも、そうした脈略で見直すと軍事が暴走する助走に見えてくる。去年の9月29日の「復帰」後最大11万人を越す集会の政治的インパクトを無視し続ける文科省の政治姿勢は、民衆の側ではなく軍隊の境界に落ち込んでいるとしか思えない。
そうした状況悪化の中、薩摩藩による琉球国への武力侵略から400年の節目の年がいよいよ来年に迫った。この400年間、琉球の民は、日本国家の植民地政策の下に苦渋の歴史を強制されてきた。明治の琉球処分、62年前の沖縄戦、1952年のサンフランシスコ条約と日米安保条約発効による米軍政下への切捨て、そして1972年5月15日の沖縄「返還」・再併合と続く日本国家による琉球・沖縄人の命と生活、主権と尊厳を破壊し奪う攻撃が繰り返されてきた。その都度、ご先祖、私たち、子や孫の世代まで精一杯に命どう宝に向かって闘い続けてきた。そして、琉球国から沖縄県に変えられて続いてきた差別と戦争の時代に区切りをつけて、本来の平和の島へと独立再生を図るのが来年なのだ。沖縄戦の前年まで軍事基地のない平和な緑豊かな島だった琉球・沖縄の主権をわれわれ自身の手に取り戻し、完全非武装地帯にすることでアジア太平洋、日本全体に平和が広がっていく。そのためには辺野古の新基地建設を阻止し、全ての軍事基地の撤去を可能にする日米軍事同盟・安保条約を破棄することである。それが現在進行している日米軍事再編という戦争の為のロードマップを平和の行程に変えるのだという確信をもって、今年も共にチバティイカナ!
昨年は、「忘れられた思想家」安藤昌益(1703〜62)が歴史上に復活してちょうど百年の記念すべき年に当たった。そのため、7月に石渡が『安藤昌益の世界』(草思社)を出版、10月に昌益ゆかりの地・足立区千住で記念フェスティバルが開催され、11月にはいいだももさんの『東洋自然思想とマルクス主義』(お茶の水書房)が出版された。
いいださんの著書は650ページを越す大部のもので、限られたスペースではとても紹介・論評しきれないため、ここでは石渡が直接関係した『安藤昌益の世界』と千住のフェスティバルを介して、安藤昌益および昌益研究の意義について再考してみたい。
10月13・14の両日行なわれた千住のフェステバルは、安藤昌益に関する首都圏での大きなイベントとしては2回目、20年振りのものである。
20年前のそれは、寺尾五郎さんを編集代表とする農文協版『安藤昌益全集』の完結を記念して、いいださん・井上清さん・針生一郎さんら多数のお力添えを得て首都圏で初めて開催された昌益に関するシンポジウムで、実質的には全国規模のものとしても初めてのものであった。本シンポジウムをベースとして翌年、『甦る!安藤昌益』(社会評論社)が出版され、また、寺尾五郎さんを代表に安藤昌益の会が結成された。昌益の会は、その後の中国や大館での昌益シンポの支援、昌益関係新資料の発見等々、実質的にこの間の昌益研究の進展・昌益についての普及活動を牽引してきたと言っても過言ではあるまい。
千住のフェスティバルは、そうした実績を持つ安藤昌益の会と、2004年5月に結成された安藤昌益と千住宿の関係を調べる会が共催で行なったもので、三部構成の参加者はそれぞれほぼ200人、延べでは650人にも上った。
13日には「安藤昌益の医学―その系譜と千住宿」と題する石渡の基調報告を皮切りに、香川大学の村瀬裕也さんの「安藤昌益の平和思想」、宮城学院女子大の菊池勇夫さんの「安藤昌益の飢餓観―『私欲』と経済社会」を受けて全体会を行ない、昌益の命日に当たる翌14日は「千住の安藤昌益」「八戸の安藤昌益」「大館の安藤昌益」「医者・安藤昌益」「思想家・安藤昌益」の5つの分科会に分かれて昌益についての理解を深めた。
14日の午後は、柾谷伸夫さんの一人芝居「出立つ日」、宝井琴桜さんの講談「安藤昌益発見伝」も演じられ、フェスティバルに花を添えた。また、会場では2日間を通して昌益関係資料の展示会が行なわれ、緊急報告として、岩手県立博物館の齋藤理香さんからは昌益に関する新資料の紹介も行なわれるなど、最前線の成果を紹介することもできた。
本フェスティバルの基調は「平和と平等」を希求した「いのちの思想家」安藤昌益の思想を、これまで馴染みの薄かった地元の人々に紹介すると共に、昌益おこしを通して千住の町おこしに資することでもあった。足立区や足立・大館・八戸の各教育委員会の後援だけでなく、地元の町会や商店街振興組合の協賛を仰いだのもそのためである。昌益の認知度はまだまだ低いとは言え、20年前に比べれば、確実に広がってきたと言えよう。
「いのちの思想家」安藤昌益という規定は、石渡の新著『安藤昌益の世界』の基本線でもある。安藤昌益の思想は、狩野亨吉の発見―歴史上への復活以来、封建制度の徹底的な批判者、農民を主人公とした未来社会を構想した唯一の思想家といった、ややもすればその社会思想のみが一面的に評価されがちであったが、寺尾五郎による全集の刊行、エコロジーを先取りした壮大な自然哲学の再評価、さらには生命の尊厳を基本にした医学体系のコペルニクス的転換といった解読を受けて、現在ではより根源的な生命哲学を核とした「いのちの思想家」として再評価されつつある。
そしてそれは、現代平和学の泰斗、ヨハン・ガルトゥングの平和論とそのまま重なり合う。ガルトゥングは戦争やテロ、リンチといった直接的暴力の廃絶を訴えるだけではなく、万人の可能性の実現をはばむあらゆる障害―貧困や差別、搾取・抑圧等々を構造的暴力・文化的暴力として告発する。昌益が、乱世のみならず治世をも「法世」として告発し、平和で平等な「自然世」を希求し、軍隊の廃止・武器の全面的廃棄・軍事研究の停止―暴力の連鎖、報復の連鎖を訴え、宗教の欺瞞性・権力者の美辞麗句を告発したのと同じである。
『安藤昌益の世界』の末尾で、私は昌益一門による「自然世」の構想、「契う論」による過渡期の構想を、自由民権運動期における民衆憲法に先駆けるものとして位置付けた。
今、護憲勢力には、昌益一門の、自由民権期の、第二次世界大戦後の憲法研究会のような、より根源的かつ普遍的な構想力が求められているのではないだろうか。
名護市民投票から10年
名護市民投票で「海上基地ノー」の民意を示して闘い始めて以来10年になるが、東村高江のヘリパッド基地阻止の闘いは、03年の辺野古海上闘争を彷彿させる。反米・反基地闘争は、身体を張ってしか止められない。辺野古・高江の闘いは、現在の米軍再編・沖縄米軍基地の再編―強化の焦点となっている。
名護では、この間、環境アセス法違反の環境事前調査が続けられている。また、大浦湾にはジュゴンはこないという「ジュゴン不在証明」の証拠のために、水中ビデオカメラや水中ソナ−(ジュゴンの鳴き声を聞く)を持ち込んだ。07年5月18日、海上自衛艦「ぶんご」が派遣され、海上自衛隊の潜水部隊もきて、これらの大型機器を海底に設置した。砲門搭載の「ぶんご」派遣の狙いは、戦後初めて自衛隊を治安出動させ、海上保安庁の巡視艇などと共同して住民闘争を潰すためだった。辺野古のリ―フ沖は、60年前の沖縄戦における米軍上陸と同様の光景だった。まさに、「21世紀の琉球処分」だ。私たちは、日本政府の恫喝に屈せず、身体を張って新基地建設を止める。政府の暴虐を絶対に許さない。
アセス方法書
「作成をやり直すべきだ」
と審査会が知事に答申
名護の新基地建設問題は、沖縄防衛局(事業者)が環境アセス法の方法書、準備書、評価書の作成に着手した。沖縄防衛局が作成した方法書をめぐって、沖縄県の環境影響評価審査会では、知事への答申書提出に向け、専門家の委員らが「審査するに値しない、方法書の作成をやり直すべきだ」という結論を出した。12月17日の答申書は、歴史に残る画期的な内容で、答申前文では、現在行われている事前調査によるジュゴンやサンゴ群など環境への悪影響に触れ、中止検討も言及している。審査会の審査を傍聴などで見守り続けた人たちから、「学者の良心と誇りを感じた」との絶賛の声も上がっている。
政府は「審査の対象とするに値しない」欠陥方法書を出しながら、12月5日、「協議が順調に進んでいる」として、基地とリンクしないはずの北部振興資金(今年度分百億円)の凍結を解除した。焦る政府はアセス手続きを急ぎながら、米政府の米軍再編計画の決定に全面的に協力し、負担軽減とは逆行する普天間移設―新基地建設強行と自衛隊と米軍の共同訓練などを目論んでいる。前回頓挫した「海上案」でのアセスのプロセスでも、今回と同じ厳しい「審査会答申」が出されたにも係わらず、改ざんした「知事意見」が出されたのを反省し、12月18日、県内移設に反対する県民会議や他の市民団体などが、「1、欠陥『方法書』を撤回させること 2、方法書を書き直させ、公告縦覧からやり直すこと、3、事前調査の中止」を明記した要請文を知事へ提出した。
辺野古と全国の闘いを
結合すれば、勝てる!
2014年に新基地を造り、日米で共同使用の道を目論む両政府には時間がなく焦っている。
国策という言葉がある。米国におけるジュゴン裁判で国防省が提出した資料には、辺野古新基地へオスプレイの配備に合意している。しかし、名護市民、県民には明らかにされていない。国策とは国家が国民をだます国家的詐欺のようなもの。国策である外交・国防問題と年金問題や原発問題も含め国民騙しの代物である。
私たちには、抵抗権がある。これを行使することが日本の民主主義を発展させることになる。抵抗せずに国策を従順に飲めば、「戦争する国家」への道を許すことになる。現在、米軍再編に抵抗して、岩国市長、座間市長は市民総出で闘っている。国策にノ−の声と行動を起こす時だ。
名護市民投票10周年。私たちは市民投票やボーリング調査阻止海上闘争に勝利した。自衛隊まで繰り出した今度の環境事前調査にも怒りの鉄槌を打ち下ろし闘っている。苦しい時も悲しい事もある。「命を守る会」の代表の金城祐冶さんを亡くす辛いこともあった。しかし、その苦しい時に闘いの旗を降ろしていたら、すでに海上基地は造られていただろう。辺野古の現場の闘いと全国の闘いを結合すれば、必ず勝てる。
全国からの支援者の援助で、ゴムボ―トも2艘を購入することができた。感謝申し上げる。日本政府は、「守屋問題」に端を発し、ガタガタになりつつある。わたしたちは、海の上、陸の上、身体を張って闘う! 是非、現場に駆けつけてほしい。そして、ともに闘おう!
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